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クレモナムジカ訪問レポート

· フェア,楽器,バイオリン,

2024年9月27日(金)から9月29日(日)の社外研修期間中、イタリア クレモナにて開催された国際的な楽器展示会“Cremona Musica”(クレモナムジカ)へ訪問してきました。

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会場内ではイタリアのみならず世界各国の製作家やメーカーによる楽器・弓の展示やケース、弦、松脂といった小物類、さらには製作に必須である道具や原材料といったものまで、多数展示されておりました。

私は初めてクレモナムジカへ足を運びましたが、会場内一面に広がる出展ブースの数の多さに驚愕してしまいました。

3日間丸々展示スペース巡りまして本場の熱気を浴びてきました。

 

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展示スペースを周っていた中で特に私が注目した楽器と弓を5種、以下でご紹介したいと思います。

 


 


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①Andrea Cabrini


赤茶色と茶色のコントラストな配色が特徴的なAndrea Cabrin(アンドレア・カブリーニ)氏のバイオリンです。
クレモナのバイオリン製作学校を卒業後、巨匠ビソロッティ氏の下で修業し、数々の楽器コンクールで受賞した経歴を持つ製作家です。
実際にスペースにて試奏をしましたが、古いイタリアンの楽器と思ってしまうほど音に落ちつきを感じられた音色でした。高音域の音もストレス無く演奏ができ、ビブラートをかけるとさらに響きの豊かさが増していたようにも思えました。柔らかく甘い音色が今でも耳から離れません。

 


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② Paolo Trazzi

 

快晴な空を連想させる様な明るい色が特徴的だったPaolo Trazzi(パオロ・トラッツィ)氏のバイオリンです。

ミラノのバイオリン製作学校を卒業し、著名なバイオリン製作家ダリオ・セガーラ氏とシメオネ・モラッシー氏の下で学んだ経歴の持ち主です。まだ30代という若手さながら、クレモナやスロヴァキアの楽器コンクールにて新人賞を相次いで受賞した製作家です。

試奏しましたが、ニスの上品な輝きに見入ってしまう他、豊かな響きで、まるでコンサートホールで演奏している錯覚にもなりました。意識せずに素直に音が鳴るこの楽器は誰もが扱いやすい楽器であると思います。楽器全体で音が鳴り続け、弾き切った余韻までも楽しめました。



 

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Fabio Dallacosta

世界中の数々のコンクールで賞を受賞し、ジオバッタ・モラッシー氏の弟子でもある楽器製作家、Fabio Dallacosta(ファビオ・ダラコスタ)氏のバイオリンです。
試奏しましたが、力強い迫力が感じられた音色でつい弾きこんでしまいました。低音と高音、遅いパッセージや速いパッセージを比べて弾いてみてもまんべんなく均衡なバランスで音が鳴る印象でしたので様々な時代の曲を、オールマイティに演奏できるのではないでしょうか。
日本でも有名な製作家とのことで、今回試奏をするチャンスを掴めたこと、嬉しく思います。

 

 

 

 

 

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Stoyan Rakovski

ニスの艶と洗練された黄色カラーが魅力的なStoyan Rakovski(ストヤン・ラコフスキー)氏のバイオリンです。

ブルガリア出身。フランスのALADFI(弦楽器製作家および弓製作家による協会)のメンバーでもあり、現在は楽器製作を行う傍らでメンテナンスや修理・修復も行っているそうです。

本人曰く、初級者からプロの演奏家の誰もが音を奏でる楽しさを実感できて弾きやすい楽器をこれからも製作していきたいとのこと。スペースには2022年に製作した楽器が展示されていたので試奏しました。音色の特徴は柔らかく濁りも無く透明感があり、弾きやすさを求める彼のこだわりを実感しました。


 

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Pietro Cavalazzi

ミラノ出身の弓製作家Pietro Cavalazzi(ピエトロ・カヴァラッツィ)氏の展示スペースです。

クレモナの製作学校を卒業後、巨匠ジョヴァンニ・ルッキ氏の指導を受け弓製作者になり、1983年からミラノに工房を構えています。モダン弓のみならず、ルネサンス時代からバロック時代といった様々な古い弓の製作や修復を行っているそうです。

実際に弓に触れてみましたが、重すぎず、構えてみてもすぐに右手右指にフィットした感覚でした。また、弓のフロッグ部分には工房のトレードマークともいえるミラノのシンボル "ドゥオーモ"をあしらった刻印と彼のネームの刻印がされていて上品な印象でした。

 

 

 

 

 

今回クレモナムジカで生の楽器と弓を手に取り実際に音を出してみて、また、製作家と直接対話をするといった貴重な経験をしたことで普段楽器を販売している私にとってバイオリンという楽器の魅力が深まりましたし、楽器自体がますます大好きになりました。

得た経験は深く胸に刻み、SIRENAの楽器販売スタッフとして一人でも多くのお客様へ弦楽器の素晴らしさをお伝えできるようこれからも日々精進してまいります。

バイオリニスト:鈴木風花(写真&文)